「シンフォニア」 F10 2017 キャンバスに油彩
ルノワールは、ドラクロワの「シオの虐殺」という甚だ凄惨かつ物騒な主題の絵を前にして、「この絵は一つの花束だ」と語ったそうです。
ここには、目に見える主題や場面事物を超えて、声の無い歌、音の無い曲が、美しい一つのまとまりになって
聴こえてくるかの如き趣があります。
「絵画」を「花束」ならしめる、詩文法、作曲法は大変難しく、
古の洋画の先達が求め、悩み、挑んできたことでもあります。私は自らの非力を省みずにそれらを求めつつ、彼らと共にありたいと
願っています。 寺久保文宣